もくじ
この章で得られること
子どもの成長段階の特徴や、成長を促すポイントを知り、発達に適した部屋づくりのアイディアが浮かぶ。
子ども部屋を整理するときのポイント
発達段階に応じた収納であること

大人が使いやすい収納と、子どもが使いやすい収納は全く違います。
また年齢と一口に言っても、個人差があるのでその子の個性や成長に合った収納を考えるのが大切です。
大人が積極的にやらないこと

一人で身の回りのことを自分でするようになったら、本人に部屋の整理を任せましょう。
考えさせる・できたという成功体験が、子どもの自信にもつながります。
今年買ったおもちゃは来年にはもうないと割り切ること

成長とともに関心ごと・興味も変わります。
数か月前に買ったばかりのおもちゃも、すぐに飽きて全く使わなくなることも多いです。
使っていないものが多く存在するのも子ども部屋の大きな特徴です。
おもちゃをため続けると散らかるばかりでなく、
飽きたものばかり置いていては、新しいことにも視野を広げにくいです。
今の想いに応じて、その都度フレキシブルに環境を変えられるような空間設計が大切です。
暮らしのトリセツ7つのアイディア
ここからは子ども視点のアイディア、STEP1のノウハウを詰め込んだ部屋づくりを紹介します。
おかな家の子ども部屋7つのアイディア
その1:おもちゃの整理の方法を考えさせる

子どもと一緒におもちゃの整理を考えます。
今あるおもちゃのほか、これから遊びたいものも想像してもらい、
こども部屋で何をして遊びたいか?理想の過ごし方を描きます。
やりたい順にABCで整理してもらいます。
その2:おもちゃをためこまない方法を考えさせる

新しく買ったおもちゃがある一方で
使わないおもちゃもたくさん増えます。
そういったおもちゃは、部屋の片隅に置いたままにせず、
どうするかを考えます。
おもちゃを捨てる以外にもリサイクル、ゆずるという手段をアドバイスしてあげて、
自分で手放す判断を促します。
その3:自然に言葉を覚えさせる

パズルピースのラベル。
ラベルにはパズル名を明記。(「日本地図 にほんちず」)
種類別に色シールで分ける以外にも漢字やひらがなをふります。
そうすることで自然に文字に触れることができます。
その4:創造力を育てる

DIYレゴ&シルバニアテーブル
広い芝生に思い思いに自分の作りたい世界を作ることができます。
レゴとシルバニアが並んでいるので、レゴとシルバニアをごちゃまぜにして遊ばせています。
下に収納の引き出しを設けることで、芝生の上で、色んな遊びを展開することができます。

段ボールの廃材や紙切れ、ペットボトルなど不要になったものを工作に活かします。
大きな段ボール箱には宅配で届いた不要な大きめの段ボールをストック。
右側の木箱に、他に必要な道具類を収納。
0からものを作ることでモノの活かし方を学ぶことができます。
廃材から知恵を絞らせて刀、ロボットなど自由に工作することができます。
その5:一人で片づけられる

上の木箱のように
見えないケースにモノをしまう時は、必ずラベリングが必須です。
文字だけだと、子どもには手間があるので、
ここでは写真ラベルを採用。
中身を撮って、貼るだけの簡単ラベルです。
また、写真ラベルだと片づけ方が一目でわかるので
小さな子どもでも一人で片づけることができます。
その6:やりとりを楽しむ

移動ができるおもちゃ棚を使えば、簡単に部屋のレイアウトが可能。
4方向で遊ぶことができます。
その7:達成感を味わう

工作や折り紙、ブロックやラキューで作った作品はおもちゃ棚の展示コーナーへ。
頑張って作った力作は崩さず、形にして残すことで達成感を味わうことができます。
STEP1で活かした原則とその内容
<棚側>

<レゴ&シルバニアテーブル側>

↓
<全体配置>

・モノの選択基準
おもちゃの要不要の判断を先ほどのホワイトボードで示した方法で一緒に考えたり、
リサイクル&ゆずるといった方法で子ども自身で考える機会を設けます。
・アフォーダンスの設計
写真の①:使用頻度別収納
よく使うおもちゃは、腰から下の位置に置くことで取り出しやすくしています。
写真の②:グルーピング
工作は紙類、文具類、ペットボトル類、牛乳パック、空箱、段ボール、型抜きパウチ、
カテゴリー別にセットにして分類。
写真の③:裏技テクニック
工作でつくった刀など細長いものやフックに掛けられるモノはデッドスペースを活かす。
写真の④:動作動線にあった収納
出入口側から使用頻度の高いおもちゃを収納。

・片づけやすい&モノが貯まらない部屋の仕組みを作ると、子どもも片づけに時間がかからない。
・自分のことは自分で考えるようになってくれると、大人の介入を必要としなくなるのでその分、家事も楽になっていきます。
子どもの発達の特徴と、環境のポイント
ここからは、子どもの年齢ごとに適した環境づくりのポイントを解説します。
乳児期(0歳から1歳前後)
- 乳児期の特徴
愛着形成・信頼関係の構築。
母親など特定の人に抱っこしてもらったり泣いてしがみつくことで安心感を求める時期。
常に守られている、安心できるといった状態を作ってあげることが大切です。
<おもちゃの例>
メリー、ガラガラ、音のでるおもちゃ、ボール、ぬいぐるみ、手押し車、ひっぱたりつかめるもの
- 環境のポイント
①誤飲・転倒の危険性があり安全面には十分な配慮を。
テーブルの角に頭をぶつけたり、ドアの隙間などに指を挟むなど、転倒やケガのリスクが高いです。
子どもの目線で危険になるものを排除することが大切です。
また、喉の構造上トイレットペーパーの芯に入るモノは誤飲のリスクがあります。
芯を通るサイズのモノは子どもの手の届く範囲に置くのは避けましょう。
②常に安心感がもてる環境。片付けもママやパパと一緒に遊びながら。
常に守ってくれる人がいると安心します。子どもの様子がいつもみえる場所で遊ばせましょう。
③五感を刺激するような環境づくり
素足で感じる床の感覚や、視覚を訴えかける色彩、さわり心地など5感を刺激してあげるといいでしょう。
幼児前期(1~3歳)
- 幼児前期の特徴
自律性の芽生え。
食事や衣服の着脱など自分でできることが増えます。
一人で遊んだり、他人が遊んでいるのをみて自然に自分もやろうとする時期。
好奇心を持ち、意思も強くなります。
この時期くらいから、やってあげるよりもできることを見守る姿勢で環境を設定してあげましょう。
<おもちゃの例>
ブロック、トミカ、プラレール、おままごと、着せ替え人形、粘土、大きめのパズル、型合わせ、お絵描き、絵本
- 環境のポイント
①安全性への配慮(乳児期と同じ)
②汚したり、壊れても大丈夫な環境づくり
マジックで色んな場所に線や絵をかいたり、シールをペタペタはったりして散らかることが多くなります。お手入れが簡単な収納用品や家具を選ぶのが無難です。
③おもちゃはざっくりと分ける
この時期は、まだ種類別に細かくおもちゃを分けることができません。
遊びに熱中できるように、収納はイラストや写真、色をつかって容易におもちゃを選べるような工夫をしていきましょう。
幼児後期(3~6歳)
- 幼児後期の特徴
積極性の芽生え。
色んなことに挑戦し目的を持つ時期。
周囲に対する好奇心をもち、社会性も身につく。
一人遊びだけではなく、集団遊びが多くなり一緒に目的やルールをもって遊べるようになります。
<おもちゃの例>
お絵描き、細かなパズル、トミカ、ブロック、人形遊び、粘土、ラキュー、トランプ、文字や数字遊び、ボードゲーム、かるた、おままごと、おしゃれごっこ、折り紙、戦隊もの、絵本
- 環境のポイント
①おもちゃはざっくりと分ける(幼児前期と一緒)
②学習的な要素を取り入れた収納
色の他に、ひらがなやアルファベットなどの文字を意識した
環境にすると自然に興味をもち言葉を習得することができます。
③その時々の気分や好みに合わせられる環境づくり
自分の好みがはっきりしてくる時期。
視野を広げて自分が好きと思えることに没頭できるよう、
いつでも自分の意思でおもちゃの取り出しができるような部屋づくりが大切です。
④「できた」が増える環境づくり
問いかければ、考えたりすることができるため、大人は助言するレベルにおさえます。
最終的には本人の意思を尊重してあげること。
片づけの方法やおもちゃの要・不要についても考えさせ、その通りに整えてあげると、自分でできたという自信につながります。
また思ってたのと違った時にも、自分が考えたことなので学びが深く、その体験が次に活きます。
学童期
- 学童期の特徴
勤勉性の芽生え。
集団生活でルールなどの社会性を培う時期。
与えられた課題について、努力をする。
成功体験を積み重ね、周囲から認められることで自信もつく。
子どもが夢中になれることを応援したり、学ぶことの楽しさ、社会の構造について学べるような関りをしてあげましょう。
<おもちゃの例>
ゲーム、トランプ、ラキュー、文字や数字遊び、ボードゲーム、おしゃれごっこ、工芸・手芸、パズル、囲碁、将棋、ジオラマ模型、マンガやなぞなぞ、ゲームの攻略本など
- 環境のポイント
①すべてを任せてみる
身の回りのことを一人で整えられるようになれば、おもちゃの管理も全て本人に任せてみる。
困りごとがあればいつでも相談できるような姿勢で見守る。
大人は、どうしたらいいのかの問いかけに徹し「やってみてできなかった」という失敗体験も積み重ねさせる。
以上!子ども部屋の整理の方法でした。
暮らしのトリセツで掲げる片づけの原則は2つです。
・モノの選択基準
・アフォーダンスの設計